Webと物流網の発展により、海外向けEC(越境EC)の市場規模が、右肩上がりの成長を続けています。
EC大国・中国における日本の越境EC利用額は、2018年に1兆5,345億円を記録。同じくEC大国・アメリカにおける金額は、8,238億円にのぼります。他国の数字も合わせれば、訪日インバウンド消費額に迫るほどです。(*)
こうした動向を踏まえ、越境ECをはじめようと考え中の担当者は多いはず。とは言え、自社だけで取り組むには、サイト構築やマーケティング面で限界があると思われます。
その際にコンサルティング業者が頼りになりますが、活用法を間違えると、思うような成果は出せません。
そこで本記事では、「越境ECを成功させるコンサルティング活用法」をテーマに、依頼するメリットとリスク、業者選びのポイント、おすすめ業者などを解説します。さっそく見ていきましょう。
*:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
越境ECコンサルティング業者に依頼するメリット

まずは、越境ECコンサルティング業者に依頼するメリットを解説します。
挙げるのは、
①自社の事業を客観視できる
②専門家の意見を取り入れられる
③マーケットの最新情報や他業種の知見を反映できる
の3点です。
自社の状況を客観視できる
1つめのメリットは、自社の状況を客観視できること。
自社の強み・弱みや業界での立ち位置など、主観では正しく把握しづらい情報は多いです。外から見れば一目瞭然の問題点が、内からは分からないケースもよく見られます。
情報は状況整理のリソースになるので、情報を見誤る=状況整理ができなくなると言え、後に続く施策もズレたものになってしまいます。また主観のみだと、「本当にコレで大丈夫かな…」と不安に駆られ、行動へ移せなくなる場面もあるでしょう。
こんなとき心強いのが、外部の人間であるコンサルティング業者です。彼らが第三者視点で情報を整理・分析し、現状を公平に可視化してくれます。
そして客観的な状況整理ができれば、
・「やるべきこと」と「やる必要のないこと」がハッキリする
・物事の優先順位が明確になる
・余計な感情に左右されなくなる
・新しいアイデアが浮かびやすくなる
・社内で情報を共有でき、全員が同じ方向へ進める
といった恩恵を得られ、施策の成功へ近付けるわけです。
自社だけでの客観視も可能ですが、外部コンサルティングを導入したほうが確実だと言えます。
専門家の意見を取り入れられる
第2のメリットは、専門家の意見を取り入れられること。
ECを海外向けに展開するとなると、プロモーションや利用環境整備などにおいて、自社だけでは対応できない部分が出てくるはずです。
この課題をクリアするには、その道のプロからアドバイスしてもらうのが、最も確実で手取り早い方法だと言えます。彼らは、ただ越境ECに詳しいだけでなく、企業ごとの問題を発見し解決へ導く「コンサルティング能力」も兼ね備えているからです。
もちろん業者へ丸投げはNGですし、最終的に成否は自社の行動次第となります。が、進むべき方向を明らかにする意味で、コンサルタントの意見は非常に有用です。
マーケットの最新情報や他業種の知見を反映できる
3つめのメリットは、マーケットの最新情報や他業種の知見を反映できること。
コンサルタントは、プロとして常に最前線の動向を追い、業務を通じて様々な業種・業界に関するノウハウやアイデアも蓄積しています。
中には自社だけだと知り得ない情報も多く、それらを元に、今まで思いつかなかった切り口を見つけられる可能性があるわけです。
また自業種だけを見ていると、どうしても考え方が偏ったり、凝り固まったりしてしまいます。幅広い業界経験を持つコンサルタントの見識は、そんな状況を打破し、前へ進むためのカギとなるでしょう。
越境ECコンサルティング業者に依頼するデメリット・リスク

越境ECコンサルティング業者には、上記のようなメリットがある反面、デメリットやリスクも存在します。マイナス面もあらかじめ頭に入れておき、思わぬトラブルに遭わないよう対策しておきましょう。
ここでは、以下の2点を解説します。
①相応の高額なコストがかかる
②必ずしも成功するとは限らない
相応の高額なコストがかかる
当然ながら、コンサルティングを受ける以上はそれなりの費用がかかります。
具体的な相場は後述しますが、月額契約だと最低でも10万円前後は考えておきましょう。さらに、ECは一朝一夕で成果の出る事業ではないので、数カ月の最低契約期間が定められていることも多いです。
無論、成果が出ない間も費用は発生するわけで、コストを回収できるのは当面先になります。最悪の場合、ECサイトが軌道に乗らず、回収すらままならない結果に終わるリスクも考慮しておかなければなりません。
以上のように、費用面は大きなデメリット・リスクだと言えます。回収性まで含めた計画を、業者とともに吟味しましょう。
なお、成果報酬で契約すれば上記リスクを抑えられるものの、これはこれでトラブルになりやすい形態なので注意が必要です(詳しくは後述)。
必ずしも成功するとは限らない
コンサルを受けたからと言って、必ずしも成功するとは限らない点にも、注意が必要です。
事実、失敗に終わるリスクはあります。その原因にしても、業者側だけに存在するわけではないのです。たとえば…
・コンサルタントの力量がない
・業者側が成果を大げさに見積もって提案していた
・コンサルタントの得意分野と自社のニーズが噛み合わない
・自社の社内政治の都合で、ベストな方策を実行できない
・現場の行動が伴っていない
など、業者にも自社にも、双方に可能性があるのです。
これら原因を取り除き、成功率を高めるには、
1:業者との面談時、気になることは遠慮せず質問する
2:複数の業者を比較検討する
3:社内への提案の仕方も、コンサルタントとよく話し合う
4:施策の目的や方針を、現場にまで浸透させる
といった対策が考えられます。
どれだけやっても100%の成功率にはできませんが、リスクを最低限に抑えるのは可能です。少なくとも、上のポイントは意識しておいてください。
越境ECコンサルティングの費用・相場

コンサルティング依頼にあたって、真っ先に気になるのが費用ではないでしょうか。
料金体系は主に、定額報酬・成果報酬・時間報酬の3種類。それぞれの特徴と大まかな相場を以下にて紹介しますので、参考にしてみてください。
単発報酬
単発報酬制は、案件1つにつき○○円を支払うというもの。
自社の課題が明確で、特定分野の助言を求める場合に有効な形態です。長期契約前に、単発で様子見するケースも見られます。
相場は…
・各種リサーチ:10万円〜
・ECサイト制作:20〜数百万円
・プロモーション支援:30万円〜
単発型で注意したいのは、コミュニケーションです。契約の特性上、関わり合う期間が短いため、お互いを理解する機会も限られます。ですので、意思疎通に齟齬が生じやすくなり、思わぬトラブルが起きる可能性があるのです。
このリスクを避けるために、単発ではこまめな連絡と情報共有を特に心がけましょう。
定額報酬
定額報酬制は、コンサルティング業務に対し、毎月決まった報酬を支払うというもの。
定額なので費用面を整理しやすいメリットがあり、また、単発ではなく中長期での契約が前提です。コンサルタントよりも、パートナーと考えた方が適切でしょう。
具体的な料金は、案件の内容や期間、事業規模、求める成果などによって大きく変わります。だいたいの相場は…
・ECサイト運用:数カ月〜複数年 10万円〜/月
・Web広告運用:数カ月〜複数年 5万円〜/月
・海外SEO対策:数カ月〜複数年 5万円〜/月
・ECマーケティング全般:数カ月〜複数年 20万円〜/月
ECサイト+広告運用のように、依頼が複数に渡る場合も多々あります。
単発型とは真逆の形態ですので、目的や状況に応じて使い分けましょう。
成果報酬
成果報酬制は、コンサルによって発生した成果(売上や利益)から、一定割合を報酬として支払うというもの。
報酬の割合は、数%から30%以上まで、かなりの幅があります。
いずれのパーセンテージにせよ、成果が出ないと報酬を支払う必要はないため、初期コストや失敗時の損失を軽減できるのは大きなメリットです。
その反面、事業が軌道に乗るとかえって割高になる可能性も。また、業者が成果を出すために、最大瞬間風速重視の場当たり的な施策に終始するリスクもあります。
さらに、「成果」の定義や判断基準を厳密にしておかないと、支払いトラブルから裁判へ発展しかねません。
費用面において魅力的なメリットを持つ一方、強いデメリットも持つので、契約は慎重に検討しましょう。
失敗しない越境ECコンサル業者の選び方

ここで解説するのは、越境ECコンサル業者を選ぶ際チェックしてほしい、以下のポイント3つです。
①業者のサイトは構造や文章が分かりやすいか
②しっかりとヒアリングしてくれるか
③過去の成功事例ばかりを強調してこないか
いずれも失敗を避ける上で重要です。ぜひ参考にしてみてください。
①業者のサイトは構造や文章が分かりやすいか
まず確認してほしいのが、業者のサイトです。
構造が複雑だったり、文章が拙かったりする会社が、越境ECだけは完璧だ…なんてことは、まずありません。同じ理由で、使いやすいレイアウトか、表示速度は速いか、なども確認しましょう。
また、業者がブログを運営しているのなら、そこも覗いてみてください。越境ECの見識や情報発信の質を見極められます。
これらの情報は、サイトに掲載されている実績や事例よりも、ある意味で参考になるはずです。必ず、細部まで見ておきましょう。
②しっかりとヒアリングしてくれるか
2つめのチェックポイントは、面談時、しっかりとヒアリングしてくれるかどうかです。
聞き取りが不十分だと、現状の課題も将来の目標も、コンサルタントは何一つ整理できません。よって本来は、施策の打ちようがないのです。
しかし現実は、ヒアリングが中途半端な業者も少なからず存在します。そして、「最新の手法」や「効果が出まくっている手法」などとソレっぽいことを言いながら、業者本位の施策を提案してくるのです。クライアントの事情は勘案されていません。
逆に良い業者は、細かい部分まで深く掘り下げたヒアリングを行います。「業者自身がやりたいこと」ではなく、「クライアントがすべきこと」を探るわけですね。
また、こうした綿密な聞き取りがあるからこそ、
・担当者が強く心配していても、実はそれほど成果に影響しない事案
・優先度が高いのに、社内の誰もが見落としていた課題
など、自社の現状が客観的に整理されます。するとやっと、成果へ直結する目標や戦略を設定できるようになるのです。
このように、ヒアリングで事業の方向性がほぼ決まるので、業者が細かく聞いてきてくれるかどうかは、非常に重要なチェックポイントだと言えます。
ただ、初回で全て出し切るのは難しいでしょう。面談時以外でもこまめに連絡を取り合い、些細なことでも報告するのが肝心です。
③過去の成功事例ばかりを強調してこないか
意外かも知れないチェックポイントが、過去の成功事例ばかりを強調してこないかです。
「SNSプロモーションで、○○社の越境EC売上を前年比60%アップさせました!」
「この層へのアプローチ策として、非常に高い効果をあげてきています!」
…といった話は、一応の判断材料にはなります。
が、60%アップの成果は、元が低すぎて達成が容易だったのかも知れません。ひょっとすると、実は目標を下回っていたのかも…。
加えて、本当に確実な成果だったとしても、コンサルだけの効果か分かりません。担当者のひらめきがきっかけだったり、偶然の産物だったりする可能性もあるのです。
成功事例が全くアテにならないわけではないのですが、あくまで参考程度に留め、もっと優先順位の高いポイントに目を向けましょう。
そのポイントは、「現状に対して打てる策」です。過去の話よりも、クライアントが今抱える問題に正面から向き合っているかの方が、ずっと大切なのです。前述したヒアリングの件にも繋がりますね。
なお施策提案の中で、参考として事例を出される場合もあります。その際は、成功の背景を質問し、説得力を見極めましょう。
いずれにせよ、過去事例を鵜呑みにしないことは念頭に置いておいてください。
おすすめの越境ECコンサルティング会社

次に、おすすめの越境ECコンサルティング会社を2つご紹介します。
それぞれ特徴が異なるので、業者選びに幅が出るはずです。ぜひ参考にしてみてください。
LIFE PEPPER:越境ECの自社運営と海外ネイティブスタッフにより、信頼性が随一

LIFE PEPPERは、海外マーケティングとインバウンド集客のサポートを専門的に手掛ける企業です。越境ECコンサルは、アジア向け・欧米向け両方を行っています。
同社の特徴は…
越境ECサイトを自社運営
(お菓子の定期配送サービス「Koibox」と、カップラーメンの定期配送サービス「Japan Ramen Box」)
↓↓
自前で培った一次情報+今までのコンサル経験により、信頼性の高い施策を提案できる
②
アジア・欧米各国のネイティブスタッフが何人も在籍
↓↓
現地事情にフィットした訴求ができる。日本人にはない視点での提案も
③
リサーチから戦略立案、ECサイト制作、プロモーション支援、分析・改善に至るまで、越境ECに関わる業務全てをサポート
↓↓
一貫性をもって取り組める他、急な問題に素早く対応できる
自ら越境ECを展開している点は、コンサルティングを受ける際に心強いですね。各国ネイティブスタッフの存在も、信頼性を高めています。
また業務範囲が広いため、特定の課題についてはもちろん、構想や方針など初期段階での相談も受けてくれます。
初回の相談は無料です。まず話を聞いてみるために、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
【LIFE PEPPERのサービス詳細・問い合わせはこちらから】
世界へボカン:英語圏向け越境ECに特化したコンサル

一風変わった企業名、世界へボカン。英語圏向けの越境ECに特化したコンサルを提供しています。
サービスの特徴は…
サイト制作や改善、広告運用などをするのは英語ネイティブのスタッフ
↓↓
日本語の翻訳ではない、英語ベースの訴求ができ、よりターゲットに刺さるメッセージを届けられる
②
日本人バイリンガルも担当チームに入ってサポート
↓↓
英語圏の人々の価値観に立ちつつ、日本企業の事情に合わせた施策を実行可能。コミュニケーションもスムーズにとれる
英語圏のECにおいては、特にアメリカの市場規模が巨大です。日本の同国向け越境ECにしても、購入額は2018年に8,238億円を記録し、2022年には1兆3,925億円にまで増加すると見込まれています(*)。
他の国々でもEC市場は急成長しており、英語圏の重要性は年々強まるばかりです。
アメリカをはじめとする英語圏にターゲットを絞れている場合は、世界へボカンが有力な候補となるでしょう。
【世界へボカンのサービス詳細・問い合わせはこちらから】
*:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
まとめ
今回は、失敗しない越境ECコンサルティング活用法について解説しました。
買い物の国境がなくなりつつある昨今、越境ECをはじめる企業は今後も増え続けるでしょう。それに伴い、コンサルでの失敗やトラブルも多くなると思われます。
ぜひ本記事を参考に、デメリットやリスクを回避し、成功を掴み取っていただければと思います。
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