越境ECとは?どんな意味?現状、魅力、リスク、人気のある日本企業事例などを交えて解説します

越境ECとは?どんな意味?現状、魅力、リスク、人気のある日本企業事例などを交えて解説します

Amazonや楽天といったECサイトでの買い物、いわゆるネットショッピング・ネット通販は、多くの日本人にとって日常生活の一部となりました。

そして今、ECの新たなターゲットとして注目されているのが、海外に住む外国人です。彼らを対象にしたネット通販は「越境EC」と言い、近年急速に市場を拡大させています。

2018年、中国居住者による日本の越境ECサイト消費額は、1兆5,345億円(前年比18.2%増)を記録しました。アメリカからの消費額は同年、8,238億円(前年比15.6%増)となっています。(*1)

2国の合計は、国内の化粧品や理美容の市場規模に匹敵するほどです。

本記事では、近年急成長している越境ECについて、企業が参入する魅力やリスク、各国の実情、具体事例などを交えて解説します。

越境ECサイト開設や運用の参考になれば幸いです。

*1:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

目次

越境ECとは?意味、定義について

 

冒頭で触れたように、越境ECは、「国境を越えて行われるネット通販」を意味します。たとえば中国やアメリカにいながら、日本で売られている商品をネットで買えるわけですね。

ユーザーはわざわざ現地へ行かなくても済みますし、企業にしてみれば国外へ販路を拡大できるなどのメリットがあるため、近年急速に市場が拡大しています。

ただし越境ECとして売買するには、個人利用限定であったり、政府指定の商品リストに適合する必要があったりといった規約が各国で定められています。

要件を満たさない場合は一般の個人輸入品として扱われ、関税などが変わりますので、出店する国の税法をきちんと把握しておかなければなりません。

越境ECとECの違いについて

越境ECとECの違いは、その商圏にあります。

越境ECは国境を越えた取引であって、海外向けのネット通販です。一方ECは、国内の消費者に対して商品を販売します。

越境すると法律や税制が変わるため、海外向けか国内向けかで区別しているのです。

越境EC市場が成長している理由

 

冒頭でもお話しましたが、2018年に日本の越境ECは、中国からの購入額が1兆5,345億円(前年比18.2%増)、アメリカからは8,238億円(前年比15.6%増)を記録しました(*1)。

同年、中国人の訪日旅行消費額が1兆5,450億円、アメリカ人のそれは2,893億円だったのを考えると、いかに越境ECが利用されているかお分かりいただけるはずです。(*2)

市場が成長している理由として、

①Webの浸透
②スマホ普及
③輸送網の発達

の3つにより、ユーザーも企業もECサービスを利用しやすくなったことが第一に挙げられます。

ユーザーは現地へ赴かずとも商品を購入でき、企業は現地に店舗を構えずとも販路を拡大できるようになったのです。

さらに日本の場合、近年のインバウンド需要拡大が相まって、メイドインジャパン製品が急速に認知度を広げている点も背景にあります。

代表的なのは、2015年ごろに話題となった中国人の爆買いでしょう。当時の訪日旅行で買い込んだモノをリピートしたり、訪日旅行者の口コミを見た人が購入したりしたのが、今日好調な中国向け越境ECのはじまりです。

利便性と認知度アップ。昨今の越境EC市場における活況は、これらの背景があるわけです。

*1:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
*2:観光庁/訪日外国人消費動向調査(2018年確報)

越境ECの魅力・メリット

 

次に解説するのは、越境ECの魅力やメリットです。

すでに軽く触れた項目もありますが、ここではデータを出しながら、企業と消費者それぞれについて掘り下げて見ていきます。

企業①:毎年10%以上成長する市場で販路拡大を狙える

 

出典:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

企業にとって最も大きなメリットは、新販路を開拓できることです。

上図のとおり、アメリカは2018年に8,238億円の消費額だったのが、2022年には1兆3,925億円と、1.69倍もの増加が見込まれています。

中国も同程度の成長率予測ですが、金額に関してはアメリカを大きく引き離していますね。

2022年の2兆5,144億円というのは、日本の化粧品市場に匹敵する規模です。これを中国向け越境ECだけで達成するのですから、マーケットのポテンシャルがいかに大きいか伺えます。

他の国々も右肩上がりで、2018年~2019年の間だけでイギリスやフランスといったEU圏は約11%韓国は18.1%、そしてフィリピンやマレーシアなどの東南アジア諸国は20%から30%もの消費額増加が予想されています(*)。

このように将来性豊かな越境ECは、販路拡大の選択肢として非常に魅力的なのです。また、将来の人口減による内需後退が予想される国内事情からも、日本企業が海外へ目を向けることの重要性が高まっています。

ただし、昨今の米中貿易摩擦や日韓関係悪化といった不安材料も無視できません。各国間の情勢変化とマーケット動向は、逐一チェックしましょう。

*:eMarketer/Grobal Ecommerce 2019

企業②:現地で実店舗を構えるよりもコストを抑えられる

自社サイトを作る、モールへ出店するといった形態の違いはあれども、越境ECなら、現地で実店舗を構えるよりもコストを抑えてビジネスを展開できます。

とりわけ運営にかかる固定費を削減できるメリットは大きく、これは店舗型だと実現が難しい点でしょう。

加えて、出店のための手続きも少なく済むため、スピード面でも優れています。

消費者:現地へ赴かずとも商品が買える

消費者にとっては何より、商品を買うのに何時間もかけて海を渡る必要がなく、好きな場所で注文できるのが魅力です。

ネット環境が整い、スマホが普及したことで、消費者は手軽にECサイトを利用できるようになりました。輸送網が国際的に整備されたのも、越境EC利用者増加を加速させています。

しかし、言葉の壁や輸送時間の長さなどは、依然としてユーザーにとって不満の種(*)。サイトの言語対応や配送業者選定には、特に気を配りましょう。

*:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査) 

越境ECの規制・リスクについて

 

越境ECのメリットをお話したところで、次は規制やリスク面を解説します。

自社の信用に関わる他、出店や出品自体ができなくなる恐れもあるため、必ず把握しておいてください。

国ごとで異なる法律・税制

出店先となる国の法律と税制は、絶対に押さえておかなければなりません。

出店許可や決済サービス利用の認可、取り扱い可能な商品といった要件は、国ごとに違う場合があります。違反すると出店取り消しや罰金といったペナルティが課され、ビジネスどころではなくなるかも知れません。

商品コピーや利用規約にしても、現地の制度や商習慣・法習慣に則った内容を記載しましょう。

また、越境EC関連制度の改正も充分にあり得ます。今まで良かったことが急に違法に・・・というリスクは念頭に置いておくべきです。

とは言え、各国の法税制を適切に解釈するのはかなり難しいため、EC運用の際は専門家や支援業者へ依頼するのが望ましいです。

配達の遅延、商品の破損・紛失

配達が遅れたり、商品が破損または紛失したりするリスクは、通販をする以上避けられません。

日本でECサービスを利用する分には、こうしたトラブルは稀です。が、海外だと頻繁に起きると考えておきましょう。

中でも配達遅延に絡むトラブルはあるあるです。EUや北米の先進国へ送った荷物でさえ、到着までに1か月以上かかるケースがままあります。

対策として配送業者の見極めはもちろん、非常時の補填や調査について、業者とユーザーの双方と取り決めを交わしておくのが大切です。ここでも現地の制度や習慣が関わるため、自社だけで判断できない場合は専門家の意見を聞くのが確実だと言えます。

クレジットカードや決済アプリの不正利用

クレジットカードや決済アプリが不正利用されると、自社のみならず、お客様まで多大な損害を被ってしまいます。ビジネスの根幹に影響するのは自明であり、よって不正対策が必須なのです。

セキュリティが甘くなりがちな中・小規模のサイトは特に狙われやすく、越境EC市場の成長と共に被害額も増加しています。(*1-3)

3Dセキュアによる暗証番号入力といった強力なセキュリティもあるものの、ユーザーの手間が増えて離脱を招くとして利用を避けるショップが多く、実情は有効期限や誤入力の確認までしか行われていないケースが大半です。

他には不正検知システムセキュリティコードなど、対策手段はいくつかありますが、どれも費用や対応幅において長所と短所を持ちます。(参考:*4)

加えて、越境ECでは「ユーザーが日ごろ使う決済手段に対応しているかどうか」が、成功を左右する非常に重要な要素となります。

つまり、ユーザーの利便性に適った決済手段であるのを前提に、自社のリソース内で実現できる最大限のセキュリティを実現せねばならないわけです。

難しい課題ですが、必要に応じて専門家の助けを得ながら解決していきましょう。

*1-3:Payment Navi/海外のカード不正利用の実態とその対策の動向(123)
*4:ECのミカタ/EC事業者を取り巻く詐欺・不正利用の実態と対策

中国とアメリカの越境EC利用事情

 

ここからは、日本の越境EC利用率トップ2である中国とアメリカについて、購買の実態や事情を解説します。

よく利用されるサイトや売れやすい商品などは、国によって全く異なります。ターゲット選定の参考にしてみてください。

中国:日本最大の越境EC取引国

 

中国は、日本にとって最大の越境EC取引国です。

2018年、同国から日本の越境ECを利用した際の購入額は1兆5,345億円にのぼり、2022年には2兆5,144億円まで増加すると言われています。

そんな中国の越境EC利用にはどんな事情があるのか、

①ユーザーの検索行動
②販売方式
③販売許可が必要なジャンル
④売れやすい商品
⑤普及している決済手段

の5点を見ていきましょう。

ユーザーの検索行動:検索エンジンではなくモールで商品検索

 

出典:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

何か商品を探すとき、中国のユーザーは検索エンジンではなく、ECモールの検索機能を使います(*)。

従って中国向けに越境ECを展開するのであれば、独自サイト作成よりも、ECモールのプラットフォームを使う方が集客しやすいのです。

そして上図が、中国の越境ECモールシェアを示しています。

1位は「網易考拉海購(kaola.com)」、2位が「天猫国際(Tmall Global)」、3位は「京東全玉網(JD Worldwide)」、4位が「唯品会(vip.com)」

上位4サイトで全体の75%ほどを占めるので、まずはこれらの中から出店先を検討すると良いでしょう。

*:ebisumart media/【2019年度版】越境EC市場のまとめ!日本・中国・アメリカ

販売方式:直送モデルと保税区モデルの2種類

 

中国向けに越境ECを展開する場合、①直送モデル②保税区モデルの2種類から販売方法を選ぶことになります。

直送モデルは、その名の通り消費者と販売会社が直接売買する方法です。保税区モデルは、中国国内の保税区という所にある倉庫へ、あらかじめ商品を保管しておき、注文が入ると倉庫から発送します。

保税区モデルは現地の倉庫へ商品を保管できるため、まとまった数を出荷できるのであれば、直接モデルよりも有利です。ただし倉庫の固定費がかかるので、少数の取引だと直接モデルの方が効率的だと言えます。

また、モデルごとに税制が異なる点も重要です。

直送モデルでは行郵税という、入国する個人の荷物にかけられる税を払わなければなりません。品目に応じて13%、20%、50%の3段階が設定されており、嗜好品ほど高税率になります。

保税区モデルは取引限度額内(*1)であれば、関税率0%+増値税(*2)通常の70%+消費税(*3)通常の70%が適用されます。

たとえば服や食品だと、必要なのは増値税のみとなり、さらに13%×70%=9.1%にまで減額されます。

扱う商品や点数などによって適切なモデルが変わるため、両者の特徴とメリット・デメリットをよく見極めて判断しましょう。

*1:1回あたり5,000元・年間2万6千元以内と規定。超過すると一般貿易と同じ税率が適用される。
*2:日本の消費税にあたる。税率は13%。
*3:嗜好品にかかる税。お酒や貴金属は10%、一部の高額化粧品は15%。

販売許可が必要なジャンル:CFDAとCCC制度

 

中国で特定の商品を売る際、CFDAまたはCCCという制度による認可が必要です。

CFDAは化粧品・医薬品・健康食品・医療機器、CCCは自動車関連製品・電気製品・IT製品・玩具の売買で必要な認可です。

無認可だと輸入できないので、必ず早めに申請しておきましょう。

売れやすい商品:1位は化粧品

 

出典:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

中国向けの越境ECでよく売れる商品は、1位が化粧品です。爆買い当時も化粧品がよく売れていましたし、中国での人気が伺えますね。

自国でも買えそうな商品が上位にある背景には、自国製品への不信感と、メイドインジャパンへの信頼感があります。実際、中国人が日本の越境ECで重視する点の1位が「品質」、2位は「ブランド」、3位が「安全性」という結果にも反映されています。(*1)

購入理由で「偽物ではないから」と答えた人が42.6%もいる点も、中国の事情を如実に表していると言えるでしょう(*2)。

いずれにせよ、日本製品が中国人ユーザーから信頼されているのは間違いありません。上図では日常的に使う製品が中心となっているので、該当商品を扱う企業はターゲットにと考えてみてはいかがでしょうか。

*1:チャイナネット/『電子商務法』施行 海外購入業務はどうなるか
*2:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

普及している決済手段:Alipayなどの第三者決済が圧倒

 

出典:JETRO/中国の越境EC

中国人が越境ECで決済するとき、最も使われるのがAlipay(支払宝)WeChat Pay(微信支払)に代表される第三者決済です。

第三者決済は、まず購入者が店舗ではなく決済サービス提供会社(Alipayならアリババ、WeChat Payであればテンセント)へ代金を振り込みます。

入金が確認されると店舗へ通知が行き、これを受けた店舗担当者が購入者へ発送。その後、商品の到着を購入者が決済サービス提供会社へ報告してはじめて、店舗に代金が入ります。

回りくどく感じるかも知れませんが、中国では偽札や偽造カードが蔓延しており、さらに悪質な店舗も多いため、第三者決済が信頼されているのです。

2位のカード決済は、中国の場合クレジットカードではなくデビットカードが主流です。シェアは銀聯カードが圧倒しており、中国以外でも世界で70億枚を発行するほど。

3位のクイック支払いはデビットカードのような決済方法で、口座から直接代金が引き落とされます。

ユーザーが慣れ親しむ決済手段に対応することは、越境ECにおいて極めて重要ですよくわからない支払い方法だと、どうしても不安がられ、購入率が下がってしまいます。

少なくとも、Alipay、WeChat Pay、銀聯カードには対応しておくと良いでしょう。

なお香港は、歴史的な経緯から決済手段も欧米寄りです。Paypalやクレジットカードがメインになっている他、オクトパスカードという、日本のSuicaやIcocaのような電子マネーも広く使われています。(*)

香港もターゲットにするのであれば、本国との違いに注意が必要です。

*:JETRO/香港の越境EC

アメリカ:中国と全くことなる利用事情

 

中国に次いで日本の越境ECで買い物をしているのが、アメリカです。

同国からの購入額は、2018年に8,238億円(前年比15.6%増)を記録しました。2022年には1兆3,925億円へ、1.69倍の増加が予測されています。

ではアメリカの越境EC利用事情について、

①Amazonの圧倒的なシェア
②売れやすい商品
③普及している決済手段
④州法への理解と対策

の4点を見ていきましょう。

Amazonの圧倒的なシェア:2018年は48%

出典:経済産業省/平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

アメリカのEC市場はAmazonが席巻しており、2位~10位までのシェアを合計しても、Amazonの半分にも満たないほどの差があります。

ただ、これは国内向けも含めた全体の数値です。正確な統計はないものの、越境ECに限定するとEbayのシェアが若干上がると考えられます(*)。

とは言え、圧倒的なシェアを持つAmazonは、アメリカ向けに越境ECを展開するなら絶対に外せない選択肢です。独自にECサイトを制作する場合、アマゾン一強の現状に割って入り、集客と販売を成立させる何かが必要ということになりますが、それは現実的でないでしょう。

まずはAmazonへの出店を検討してみてください。

*:ystats.com/ Infographic: Global Cross-Border B2C E-Commerce 2017

売れやすい商品:ファッション関連の商品がトップ

 

出典:DHL/THE 21ST CENTURY SPICE TRADE A GUIDE TO THE CROSS-BORDER E-COMMERCE OPPORTUNITY

アメリカ人が越境ECで購入した商品のうち、最も多いのはファッション関連です。2位が本や雑誌などの出版物、3位はPC関連の製品と続く他、最近は日本のスポーツ用品やカー用品などもよく売れています(*1)。

上図を見ると、中国での売れ筋と全く違うことが分かりますね。中国で最上位だった化粧品や食品は、日頃のショッピングで充分なのでしょう。

アメリカのユーザーが越境ECで求めているのは、自国内で流通しないユニークな日本製品なのです(*2)。

*1:JETRO/米国の越境EC
*2:UPS/Pulse of the Online Shopper Study

普及している決済手段:クレジットカードにPaypalが続く

 

出典:Expert Market/ Online Payment Methods around the World

アメリカのオンライン決済で最も多く使われているのは、クレジットカードです。VISAとマスターカードで75%を占め、アメリカンエクスプレスとディスカバーが残りを埋めています。

第三者決済サービスのPaypalも根強い支持を得ており、カード払いとは根本的に違う方式であることから、今後も一定のシェアを保つものと見られます。

また近年は、Google WalletやApple PayのようなeWalletも台頭してきました。

今後の動向に注目しながら、まずはカードとPaypalに対応しておくことが望まれます。

*:Paypal/ PayPal Cross-Border Consumer Research 2018

州法への理解と対策:厳しい既定の州を参考に運用を

 

アメリカでの商取引においては、連邦取引委員会(FTC)が全体の取引をチェックしています。しかし連邦制を布く国家であるがゆえに、州法の内容からして、中央のFTCよりも優先して勘案すべき規制が一部に見受けられます。

たとえば、プライバシーとデータ保護に関してカリフォルニア州が制定した州法。企業のプライバシーポリシー順守徹底と情報開示を中心としたもので、現在アメリカで最も厳しい消費者保護法となっています。(詳しい解釈はJETROのページへ)

この法律は、カリフォルニア州以外では効力を発しません。では他の50州以上の州法をくまなく洗わなければならないかと言うと、実際のところ非常に困難です。

対応策として、各分野について全米で最も厳しい州法を参考にすることをJETROが推奨しています(*)。専門家の助言を借りながら、規制に抵触しない順法的なビジネスを構築していきましょう。

併せて、食品は米国食品医薬品局(FDA)へ申請が必要であったり、化粧品は連邦食品医薬品化粧品法(FDCA)に適合した製品でないと輸入できなかったりといった規制もあります。これらについても、細心の注意が必要です。

*:JETRO:米国E-コマースビジネスにおける法的留意点

有名、人気のある日本企業の越境ECサイト事例

 

ここまで越境ECの魅力や実情をお話してきました。

次は、日本企業の事例をご紹介します。具体的な例を見ることで、運用における概要をより掴みやすくなるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

爆買い沈静化後も業績が右肩上がり!マツモトキヨシ

引用元:マツモトキヨシ(中国語簡体字サイト)

2018年の純利益が7.7%増を記録した(*1)マツモトキヨシは、中国人の爆買いをきっかけに越境EC需要を取り込んだ代表例だと言えます。

当時のニュースで、中国人観光客が同店に殺到するのを見聞きした方は多いはず。そして爆買いが沈静化した今、彼らは店舗ではなく越境ECで買い物をするようになっているのです。

2015年9月、マツモトキヨシは中国国内でトップシェアを誇るTmall GlobalへECサイトを出店しました。(MatsumotoKiYoshi海外旗舰店)

集客導線は、訪日インバウンド客へのアピールの他に、中国で広く使われているSNS「WeChat(微信)」「Weibo(微博)」での情報発信があります。

毎日投稿のWeiboでフォロワー4万人を獲得している他、WeChatも週1回更新ながら1つの投稿が数万回の閲覧数を記録しており、訴求効果の高さが伺えます。

中国においてECとSNSを使う人の年齢層は、どちらも20代~30代です(*1・2)。ターゲットが多くいる媒体へ、的確にメッセージが送られていると分かりますね。

2019年も同社の越境ECは順調に拡大とのこと。訪日旅行が終わってからのフォローと、何よりもSNSでの情報発信は、どの企業も参考にできるのではないでしょうか。

*1:流通ニュース/マツモトキヨシ/4~12月、新規出店・PB好調で増収増益
*2:チャイメモ/データで見る中国SNSメディア!~2017年Kantar中国SNSメディア影響レポート(前編)~
*3:界面/万万没想到 原来中国男性更

越境ECで年間1億円の売上!北海道お土産探検隊

引用元:北海道お土産探検隊 英語サイト(Rakuten Global Market)

北海道のお土産を扱う「北海道お⼟産探検隊」は、2014年に越境EC売上が年間1億円を突破し、出店先である楽天が創設した「ショップ・オブ・ザ・イヤー2014」の海外販売部⾨で⼤賞を受賞しました。

もともと国内向けに楽天市場でショップを運営していたところ、担当者から越境ECを勧められたとのこと。あまり深く考えずに始めたものの、徐々に外国語の問い合わせが来るようになり、手応えを感じたそうです。

そして同店は、越境ECへ本腰を入れるために、中国⼈スタッフを採⽤しました。

当初は自動翻訳で済ませていたサイトを、ネイティブによる翻訳へと手直ししたのです。商品説明はもちろん、利用ガイドなども中国語と英語に対応し、ユーザーが安心して買い物できるよう整えました。

結果、以前にも増して注文が入るようになり、今では売上の半分以上が海外需要だと言います。

海外向けにビジネスをするのであれば、ターゲットに馴染みのある言語に対応しておくことは必須です。さらに、日本語を直訳するだけでは細かいニュアンスが伝わらない場合も多いため、ネイティブに訳してもらうのが最良となります。

社内に人材がいない場合、ネイティブスタッフを抱えた外部の支援業者に依頼するのがおすすめです。

また、楽天の海外通販プラットフォーム「Rakuten Global Market」は、中国の越境ECシェアNo.1「Kaola」とNo.3「JD Worldwide」の2社と連携して販促をしています。

楽天を通じた海外向け売上は6年で8倍に拡大していて、今後の見通しも良好です(*)日本企業が手がけるECモールへの出店を検討している場合、楽天は有力な候補になるでしょう。

*:日流ウェブ/楽天の越境EC 〈流通額は5年で8倍〉/中国モールと連携、売れ筋拡大
参照:ネットショップ担当者フォーラム 売り上げの約半分が海外向け。「北海道お土産探検隊」が海外から注文を集める理由

まとめ

今回は越境ECについて、注目される理由や魅力、各国の実情、事例などを解説しました。

大きな市場があるとは言え、まだまだ発展途上です。東京オリンピックによるインバウンド需要には、特に大きな期待がかかります。

先例が充実し、ノウハウ蓄積が進んでもいるので、今は参入のタイミングとして理想的です。

しかし、越境ECを成功へ導くには、ターゲットのニーズや不満を理解することはもちろん、現地の法律や税制、決済手段、言語といった様々な課題をクリアしなければなりません。

一企業だけでどうにかするのは現実的ではないため、要所要所で専門家のサポートを受けるのが肝要です。

本記事が越境EC成功の一助になればと思います。

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