ビジネスで成功しなければ、会社にいるのも難しいと言われるアメリカでは、完全な成功主義です。
ビジネスで最先端なのはアメリカですし、成功すると大きな業績ともなります。
そのアメリカで成功することを夢見て、日本のユニクロやキリンビールなどがアメリカ進出をしましたが、失敗に終わりました。
アメリカ進出などのアウトバウンドの需要がある中で、成功するには過去の事例から学ぶことが欠かせません。
それは日本とアメリカではビジネスに対する考え方や取り組み方が大きく違うからです。
意思決定の速さや組織の違いなどは、アメリカと日本のビジネスにおける大きな違いです。
アメリカビジネスでは、意思決定が遅いことがビジネス自体の失敗につながってしまいます。
アメリカで成功しているビジネスを考察すると、どのようなサービスをどのように提供するのか参考になります。
この記事では、アメリカと日本でのビジネスの違いや最先端のビジネスを解説します。
アメリカビジネスと日本のビジネスの違い
グローバルという言葉が使われるようになり、日本企業でもユニクロや楽天が社内で英語を公用語にしています。
もちろん英語が話せることは、グローバル化に向けての一歩となりますが、アメリカビジネスと日本のビジネスには、英語という言語以上の違いがあるのです。
アメリカと日本でのビジネスにおける、主要な違いを見ていきましょう。
意思決定の速さの違い
結論から言うならば、アメリカの意思決定は「個人」に任されているので早く、日本では役職や会議によって決められるので遅いというのが特徴。
日本のビジネスのおいては、役職を追って意思決定がされていく仕組みになっています。
社員からリーダー、課長などという具合に、トップに遡って判断を仰ぎます。
さらに多数の会議があるので、必要な書類も多くなり、決断が遅くなる傾向があるのです。
対して、アメリカのビジネスでは、意思決定のスピードの早さが顕著に表れています。
上司は部下に責任を与えているので、迅速な決定が可能となります。
部下だからといって、いつも上司の支持を仰ぐのではなく、リーダーシップや決断力を持ってプロジェクトに臨むのです。
もちろんいつも上手くいくとは限りません。
しかし計画の時間に対して、実行の時間が多いので、リカバリーができます。
あらかじめ決められた裁量内で失敗すると、顧客に謝罪しリカバリーするのです。
全体を見る日本人と、合理的に行動するアメリカ人の違いが大きく出ているのです。
組織の体制の違い
組織の違いでは、日本の企業は日本人のみによって構成されていることが多く、「空気を読む」などの文化があります。
価値観を共有するのが容易というメリットがある一方で、保守的であったり、なれ合いで仕事が進んでしまったりという危険性があります。
Rochelle Kopp (ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)も日本のビジネスの特徴として、コミュニケーションが曖昧であることを示唆しています。*1
よくあるビジネスのトラブルの原因として、組織体制の違い、さらに意思の伝え方があるのです。
一方で否定的な特徴として挙げられているコメントには、次のようなものがあります。
・コミュニケーションが曖昧
・自己表現が不十分
・「ノー」を明確に表現しない
・働きすぎて、ほかの人にもそれを期待する
・上下関係を意識しすぎる
・意思決定が遅い
・必要以上に物事の詳細に注意を払う
アメリカでは、他民族という国の特徴もあることから、企業の中に複数の国籍や文化が入り交じっていることが常です。
多様性があるので、様々な視点で物事を見る習慣ができています。
また多様性があることは、コミュニケーションを図ることが求められるので、主張することや発信することが必要な環境にあります。
個人が主張をすることは、個人が独立して仕事を行うことともつながります。
個人単位でプロジェクトに貢献することが求められており、すべての人がリーダーシップを発揮して行動する必要があるのです。
なれ合いの関係の中で、グループに貢献することが求められる日本とは大きな違いがあります
(*1)https://www.academyhills.com/note/opinion/14070201Rochelle_Kopp.html
協力関係の違い
アメリカのビジネスで重要視されているのは、結果を出すことです。
合理的な考え方ですので、プロセスはあまり関係なく、結果がどうかによって仕事に対して評価されます。
日本のビジネスでは、周りと協力してどのように仕事に至ったかというプロセスに重きが置かれることもあるのです。
例えば、会議のためにたくさんの資料を用意し、完璧なプレゼンをしたという具合です。
何を最重要視しているかは、協力関係の違いにも影響します。
アメリカではプロジェクトを遂行するためには、上司や先輩など関係なく、議論して仕事を行うという傾向があります。
すべての人が同じ目標に向かって、突き進んでいくのです。
しかし日本のビジネスでは、他の人と協力し上司のとの協力などのプロセスを重視します。
もちろんプロセスや上司に敬意を払うのは大切です。
しかしプロジェクトのためであっても、上司だからという理由で意見ができないことは、良い結果につながらない可能性があります。
最先端のアメリカビジネス
アメリカと日本のビジネスの違いを大まかに解説してきました。ここからは、最先端のアメリカのビジネスをご紹介します。日本にも導入されているものもありますが、最先端のビジネスとして取り入れられているものを見ていきましょう。
サブスクリプションサービス
2018年にアメリカで流行したのは、サブスクリプションサービスです。
サブスクリプションサービスというのは、定期購入や配送サービスのことを指します。
日用品やファッション、アプリやソフトウェアに至るまで、様々なものを定期購入するサービスです。
ユーザーの趣味嗜好やサイズに合わせて、選んでくれたり、もしくは自分で選んだものが配送されるというサービスです。
ソフトウェアでもサブスクリプションサービスに移行するものが多くありました。
アドビシステムは、2013年にデザインに関するアプリケーションソフトウェアをサブスクリプションサービス型に移行することに決定しました。
その後、2013年から2017年にかけて、年平均成長率は52.3%で増加しており、2017年度のアドビシステム全体の84%の収益を占めるほどとなっています。*1
2018年度通年の収益は過去最高で90億3,000万ドルとなり、前年比24%増という結果です。*2
2015年度に48億ドルだったことを考えると、大きな成長を遂げています。*3
これまでではなかったソフトウェア以外の分野でも、定期購入のサービスがあり、ユーザーは買い忘れや選択する必要なく必要な商品を手に入れることができます。
日本でも徐々に一般的になっているサブスクリプションサービスは、アメリカでの流行のサービスと言えるでしょう。
スモールビジネス
ニューヨークなどで注目されているのは、スモールビジネスと呼ばれるものです。
様々な領域において、革新的な起業家が生み出した従業員が500人以下のビジネスが注目されています。
大人向けのシェアハウスやオリジナルアイスを作れるサービスなど、多種多様な分野でビジネスが行われています。
例えば、Common(コモン)は大人向けのシェアハウスを提供しています。
2014年に1件目をオープンし、その後ニューヨーク、ロサンジェルス、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントン、シアトルと多数の都市にシェアハウスをオープン。
ニューヨークの場合は、家賃が1,500ドル(約16万円)からで、家具やインターネットなども整備されており、気軽に利用できるサービスです。
ただ住むだけでなく、住んでいる人とのコミュニティを形成することを進めており、良いコミュニケーションを図れるようにしています。
広告配信
インターネット広告の重要性が増しているので、広告配信のビジネスも進んでいます。
日本でもインターネット広告は盛んに利用されていますが、インフルエンサーなどを利用した広告は、やはりアメリカの方が進んでいると言えるでしょう。
インフルエンサーだけでなく、アプリなどに広告を配信するビジネスも進んでいます。
データを見てみると、アメリカの2018年のデジタル広告費は1,065億ドルまで成長しています。
また注目したいのは前年比30%以上の伸び率と、700億ドルを超えるとされているモバイルでの広告費です。*4
スマートフォンの普及が進んでいるので、モバイルの広告市場が大きくなっています。
広告の収益モデルがフィー制のものが主流になっているのですが、最近では広告の成果に応じて報酬も変わるインセンティブ型が広まっているのも特徴です。
業績を伸ばせば伸ばすほど、広告主が満足できるスタンスでビジネスが行われています。
インターネット広告は、2000年代から行われていますが、形を変えながら大きなマーケットとなっている分野です。
消費者は過度な広告が出現することを嫌う傾向がありますので、効率的に広告配信することが求められているのです。
(*1)
https://www.nttdata-strategy.com/monthly/2019/0320/index.html
(*2)
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201812/20181214-q4earnings.html
(*3)
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201512/20151211_q4earnings.html
(*4)
http://global-adtech.jp/blog/4030
アメリカビジネスの成功事例
この見出しからは、アメリカビジネスで成功した事例を取り上げてみましょう。どのようなビジネスが最先端のものとして成功しているのか、成功例から参考にできる点を見ていきます。
The Tie Bar
引用元:The Tie Bar
ネクタイはスーツやシャツに合わせてつけるもの。
しかし同じものばかりでは、見た目も飽きてしまいますし、スーツに合ったものを付けることが難しくなります。
そのようなネクタイに関する悩みを解決してくれるのが、「The Tie Bar」というサービスです。
1年間に12本届くサービスと6か月で6本届くものがあり、必要な本数に合わせてサービスを選べます。
どのネクタイにするのか考えることなく、スーツにぴったりのネクタイを届けてくれるので、人気を集めています。
ネクタイを定期的に届けてくれるという、これまでの発想にないサービスで人気を集めています。
Away
引用元:Away
Awayは比較的手ごろな値段で、旅行に便利なスーツケースを作っている会社。
2015年に創業したこのメーカーは、2018年6月にシリーズCの投資ラウンドで、5000万ドル(約90億円)の資金を調達することに成功しています。
高額なスーツケースの約半値で、生涯保証が付いているというユニークなサービスが人気を集め、最初の1年間で5万台のスーツケースを売ることに成功しました。
創業から数年で、莫大な資金調達を実現し、急速に伸びているビジネスの1つです。
Airpush
引用元:Airpush
2010年に創業した広告配信の会社です。
12万以上のアプリに広告を配信しており、コカ・コーラなどの大手クライアントを抱えている会社です。
Androidのプッシュ通知を使用した広告を得意としており、Androidは儲からないというイメージを変えた会社でもあります。
拡大するインターネット広告の中でも、モバイルに特化した事業として注目を集めました。
2019年4月にappScatter社に買収され、事業をさらに拡大させる見込みがあります。
参考:https://interarrows.com/mcf/lp/201906.html
まとめ
ビジネスの最先端を行っているアメリカでは、スモールビジネスと呼ばれる従業員が500人以下のビジネスや、サブスクリプションサービスが流行となっています。
日本でもアドビなどをはじめとするソフトウェアサービスなどで、サブスクリプションサービスがスタートしています。
プロジェクトの成功のために、個人が力を発揮し、相手とのコミュニケーションを図ることが成功につながっているのでしょう。
自社ビジネスの拡大や応用に活かすことができないか、アメリカのビジネスでの成功例を参考にしてみてください。
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